e.さんことNewdumsの 伊井祥悟氏の弾き語りライブへ行って参りました。
行けなかった方へも彼の魅力やNewdumsの違った側面を感じていただければと思います。
雨ですよ雨。
場所は心斎橋PARCO。
名前で覚えず景色で覚えているわたしは、心斎橋のパルコってどこなのか疑問符が浮かぶ。
心斎橋駅中央出口?の改札抜けて大人の足でまっすぐ20歩くらいで心斎橋PARCOです。
この日はネオン食堂街の3周年イベントのようです。
洋の東西と、昭和と令和と旧(ふる)い近未来が混在したような感じの飲食店の地下2階にあるフロア。
PARCOのフロアガイドには飲食店が林立していて、何処に演奏出来るスペースがあるのかと訝しんでいた。
地下1階からエスカレーターをひとつ下り、左へ振り返ると特設ステージがある。ブルーのホテルロープで仕切られたそれの広さはおよそ6畳間か、広くても8畳間くらいといったところ。
リハーサルが終わり、スタッフと打ち合わせをしていったんステージから離れるe.さん。
客席のうしろのほうで髪の毛を整えたり触ったり、エスカレーター下にある臨時の控え室辺りでペペッターズの広村さんと話しをしたりソワソワソワソワ緊張している様子で開始までの時間を過ごしておられる。
14時30分の開始30秒前に、ハッと思い立ったように小走りでステージ横の通路へ消えていく。催してきたので走ったのかと思っていたら、ステージ後ろの空き店舗の裏にある逆U字型になった通路を通って、反対側から出てくる。
14時31分、小走りででステージへ戻り、何某のおいしい水のペットボトルを開け喉の渇きを癒す。
スマホを操作し、脚の長い椅子の上に置く。メモ機能を開けてるよう。
本日のお召し物は、細身の黒のズボンに首元がライトグレイの赤色のセーター、黒の革靴に、お揃いの色の革ジャン。(『N.N.N.』のレコーディング入る前のライブのあとに「革ジャンギター弾きにくいわ」言うてたのん、大丈夫なんかなといらん心配をする。)
特設ステージの後方にある"3rd PARCO CHAOS JAM”という看板はジャムの平たい瓶のようなデザインで、蓋の部分がライトグレイ、瓶の本体が赤色でした。セーターと配色が一緒で。合わせてきた?
さて、左手でアコースティックギターのネックを持ち、右手でストラップを首から肩に回し、音色を確かめる。
チューニングを終え、
「どうもNewdumsの伊井と言いますよろしくお願いします」
一昨日のアンコール最後の「Fool」から始まる。
ワンマンライブの続きやでということだろうか。
そうやと思う。
敢えて裏を取ることはしなかった。
ニヤッと「いや、別にそこまでは考えてなかったわ」と返ってきそう。
半身になって左足に重心を置き、右脚を少し曲げながら歌う姿にそれでもワンマンライブのエピローグ的なものを感じる。幸せ。
センキューと「Fool」をやり終え、脚の長い椅子の上に置いたスマホの画面を覗きこむ。
スマホの画面には今現在、演奏出来る曲が書き連ねられており、今日の演目もその中から選んで決めたとのこと。曲順も決めてなかったと思われる。
しばし視線を滑らせ顔を上げる。
曲ではないメロディからハッキリしたものへ変わる。
バンド編成でも滅多にやらない「Donut」をギター1本でやりはじめる。そんな……良いんですか。サビでは雑多な食堂街の喧騒にe.さんの裏声が透き通っていく。
アコースティックの「Donut」は過去にやったことあるのでしょうか。
嬉しいし、ワンマンのときも思いましたけど、昔の曲を過去のものとして寝かせていないのが、自分の分身のような作品を大切にしている証拠ですよね。
長時間のアコギは腕がバグるとも言っていたけどそれも、手抜きせずに目の前の人たちへ一生懸命に届けようとしている、e.さんの音楽に対する純粋な姿勢だとも思うので、より一層好きになります。
「こんな環境でしたことないので、周りの音が」
チューニングを終えて話し始める。
「……気になっちゃう」
「あんまり集中力がないんですよね」
良いところという客席からの声に口角を上げて応える。
「さっきムノーノモーゼスやってて、昔からの友だちなんですけど」「ちゃんとバンドでやりやがって」
称えつつ少し羨ましそうにも聞こえる。
「ボーカルの若月くんがやってたカーンってするやつ、ずっとバンドに「あれ入れへん」って言うて」るようですけど採用はされないとのこと。
ムノーノモーゼスは観れてないのでどのような打楽器か、何となくの想像でしかわかりませんが、まず既存曲でカーンを取り入れてみて必要性を感じさせるとか。「See you」のまんじろうタイムの前にカーン、「Mist」でタンタンが歌っているときの合いの手にカーン、「Anytime」で林さんが弾かず髪の毛をかき上げて手持ち無沙汰なときにカーンと叩いてもらうとか。採用からは遠ざかりますね。
閑話休題。
指の動きを確認し、「Octopus」へ。歌詞の意味はわかりませんが、周囲のガヤガヤが雰囲気を出して昭和のナイトクラブで演奏していて、それをバックに聞きいているふたりの男女が甘いカクテルに溶けていくようなイメージがする。
イントロを拾った耳を疑う。「waiting for the light」なのか。
クリスマスシーズンのほんの一時期の、しかも気まぐれにしかしない曲を惜しげもなく。この場に居た人は幸運だと思う。
前後に体を揺らすなど体全体を使って歌っている。e.さんの視線の方に顔を上げると、”ラーメン シウマイ”などの暖簾が垂れている。
チューニング、そして音色を確かめて曲が始まる。おとといリクエストした反町隆史のカバー「POISON」、じゃなくて初期の名曲「Hawaii」。林さんが加入する以前の曲。バンドでも演ったら良いのに。まんじろうさんからは「ないな」と一蹴されたけど。ずっと聴きたかったので、ほんまe.さんありがとうございます。
Robert Johnsonのカバーかと思ったら「Daydreaming」。
ちょっと音ハズしちゃったけど、それも愛嬌のひとつ。
白昼夢から目醒めそうな、オルゴールのゼンマイが止まりそうな哀愁を感じさせるように奏でている。
こちらのバージョンも趣きがあって何度も聴きたい。普段聴けない曲もやるし、弾き語りはほんとに逃したら一生後悔するようなものかもしれない。
一人なら関西へ帰ってきやすいとも言っておられたし、もっと弾き語りやりたいともおっしゃっていたので、弾き語りを観れる機会が増えるかもしれませんね。
長時間のアコギは腕がバグる言うてたけど、弾き語りワンマンとかあったらいいな。グッズも"SHO☆GO”って書かれたロゴキャップとか作ったりして。
「あと1曲くらいにしようかなと、思ってます」
えーっと客席。
「今日は折角なので帰って楽しい休日をお過ごしくださいませ」
客席へ目尻を下げ、左に腰を傾け、気持ちを込めて「Mercy」を歌う。
風邪を少し引いたようなことを言ってはったので、声はマイルドに、その分豊かな表情で演奏している。
「太陽を待っていたけど今日はあいにくの雨でしたね。荷造りして俺は今日の夕方に東京へ戻るから、みんなはこのあと楽しい日になりますように」というようなのを曲で表現していたと感じました。
ボーカルが終わりアウトロでは安堵の表情で白い歯を見せる。
ジャカジャカジャンと、ラストの1音は弾き「終わった」というような感じで右腕を後方へ伸ばす。そして一歩下がって一礼する。ピックをネックと弦の間に挟み入れ、肩からおろして手に持ったギターを置こうと後ろを振り返るも、ギタースタンドが無い。くるっと90度、踵で回転し、客席右手側にアコースティックギターを置き、深く息を吐く。
彼らの曲にしてもバンドとしてのライブにしても洗練さてたものを感じるが、その段階へ到達するまでの苦しみや葛藤や、もちろん楽しみや達成感などのある種の泥臭さも感じさせる。
そして、e.さんのアコースティックライブのなかにも、同種の洗練さと、ワンマン終わった翌日に練習したんやろうなとか、ご飯食べながら何の曲演ろうか考えてたんやろうなとか、人前で一人で演奏するまでにどれだけ頑張ったんやろうか、というような泥臭いものを感じ取ることが出来た。本来見せるべきではなものかもしれないが、彼らに関してはそういうところも魅力のひとつだと常々確信している。
※色の変わっている曲名をクリックするとYou TubeへHawaiiします。
-setlist-
01.Fool
02.Donut
-mc-
03.Octopus
04.waiting for the light
05.Hawaii
06.Daydreaming
-mc-
07.Mercy
ご覧いただきありがとうございました。
関西はいつもe.さんやNewdumsの帰りを待ってますからね。
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